図書館員のお仕事 Vol,3 カウンター業務

図書館のカウンターと聞くと、「貸出・返却」をしている図書館員をまっさきに思い浮かべる方が多いのではないでしょうか? 資料のバーコードを『ピッ』としているだけと思っている方もいるかもしれません。
今回は、図書館員はカウンターでどのような業務をしているのか、たくさんある業務から一部の紹介と、業務に便利な図書館製品をご紹介します。

図書館員のお仕事 カウンター業務©キハラ株式会社
図書館員のお仕事 カウンター業務©キハラ株式会社

図書館のカウンターでは、規模や地域などによって行う業務は様々です。小さな図書館では、1つのカウンターで全ての業務を行うことが多いです。大きな図書館では、複数のカウンターがあり、 貸出・返却・レファレンス・児童など、業務によって分かれていることもあります。

図書館カウンター©キハラ株式会社
図書館カウンター©キハラ株式会社

カウンター業務(内容は一部です)
貸出・返却
予約・リクエスト受付
利用者登録・利用案内
簡単な本の修理
弁償受付

貸出・返却

カウンター業務 貸出・返却©キハラ株式会社
カウンター業務 貸出・返却©キハラ株式会社

<貸出>
利用者が資料を借りるためにカウンターへ来たら、利用者カードを元に、利用者の貸出状況(貸出/延滞/予約/貸出可能冊数/その他、連絡事項など) を確認します。 予約資料の受け取りも利用者カードを元に利用者の貸出状況を確認後、取置棚からから予約資料を探し出します。
貸出時は、資料に破損や汚れなどはないかを確認します。 盗難防止の磁気がついている場合は、専用の機械で磁気を消去します。 最後に、貸し出す資料の返却日を利用者へ案内します。 

<返却>
資料が返却されたら、返却日は過ぎていないか、ページに何か挟まっていないか、ページの外れ、破れ、汚れなどはないかをチェックします。 資料の破損、汚損があった場合は、利用者へ確認をします。 
資料が次の利用者の予約の本だった場合、取り置きが必要です。予約者の情報を確認し、予約者の予約用紙を資料と一緒にして予約棚へ取り置きします。

予約・リクエスト受付

予約・リクエスト用紙 例©キハラ株式会社
予約・リクエスト用紙 例©キハラ株式会社

<予約>
利用者の読みたい資料が貸出中の場合には予約を受け付けます。 自宅のパソコンや自身のスマートフォン、図書館内のOPAC(蔵書検索システム)から予約ができる図書館も増えましたが、カウンターでは、予約をされる方に専用の用紙に記入をしてもらいます。 記入の情報を元に、資料の検索、希望の資料で間違いがないか確認します。 

例えば夏目漱石の「吾輩は猫である」という資料の予約を受けた場合、複数の出版者から、ハードカバーや文庫本など、大人向けから児童向けなど、様々な「吾輩は猫である」の資料の検索結果が出てきます。利用者の希望に合った資料を提供する必要があります。 

<リクエスト>
予約・リクエスト用紙に記入してもらった資料が図書館で所蔵していなかった場合は、リクエストとして受け付けます。 リクエスト資料の書誌情報の調査(出版年・出版者・ISBN・MARC・新刊で購入予定はあるかないか)を行い、 新刊の場合は、これから図書館で購入の予定があるのか、すでに発注済かを調べます。 購入の予定がないものは選書・発注担当へ回付します。 新刊ではない未所蔵資料の場合は、その資料が現在も購入可能な資料か、出版者の在庫状況などを確認します。絶版で購入ができない資料の場合は、所蔵している他の図書館から借り受けをする相互貸借サービスを使い、提供する場合もあるので、相互貸借サービス担当者へ回付します。 

利用者登録・利用案内

登録用紙へ記入©キハラ株式会社
登録用紙へ記入©キハラ株式会社

初めて図書館を利用する方の利用者登録を行います。登録用紙に氏名・住所・電話番号を記入してもらい、身分証明書を確認します。登録完了後に利用者カードを発行します。近年ではインターネット検索・予約サービスを利用する方も増えているので、インターネットサービスの利用を希望の方にはメールアドレスの登録やパスワードの設定もしてもらいます。 登録後、図書館の総合案内として図書館の利用方法や開館時間、館内の案内などを行います。 

キハラ リーディングトラッカー©キハラ株式会社
キハラ リーディングトラッカー©キハラ株式会社

読書補助具として拡大ルーペやキハラ リーディングトラッカー、リーディングルーペをカウンターで貸出出来るようにしておくと、字の読みづらさを感じている方への合理的配慮の提供になるため、おすすめです。 

キハラ リーディングトラッカー・リーディングルーペ
ハンドクリアルーペ

簡単な本の修理

本のおどうぐばこ のり©キハラ株式会社
本のおどうぐばこ のり©キハラ株式会社

貸出時にページの破れや外れなどに気が付く場合があります。もしくは、利用者から「借りたいけれど、ページが外れてしまっている」と教えてもらうこともあります。すぐに処置できそうなものでカウンターが混雑していなければその場で対応することもあります。カウンターにビニダイン・のりステッキ・ページヘルパーなど、補修用品を少量でも用意しておくと安心です。補修用品と道具がセットになっている「本のおどうぐばこ」「本のおどうぐばこ のり」をカウンターに設置するのもおすすめです。

製本/補修・補強用品
本のおどうぐばこ
本のおどうぐばこ のり

弁償受付

返却時に資料の破損や汚損、水濡れなど被害が大きく修理や復元が難しい場合は、利用者へ弁償をお願いすることがあります。弁償基準を設けている図書館もあります。 図書館によって弁償の方法は様々ですが、同じ資料が現在もまだ購入可能なものであれば同じ資料を用意してもらい、すでに絶版のものは同じ価格以下の資料から図書館で指定した資料を用意してもらう場合もあります。 破れなどは図書館で補修できる場合もありますから、セロハンテープなどで修理せず、図書館員にご相談ください。

(追記)
今回は貸出返却を中心としたカウンター業務の一例をご紹介しました。これらの他にも今回ご紹介しきれなかったレファレンス業務、相互貸借、選書業務など図書館には重要な業務がまだまだたくさんあります。

近年では電子書籍の貸出しや感染症対策、SNSによる情報発信など、時代の変化と共に図書館員の業務も多様化しています。図書館員はカウンター業務を行いながら、様々な業務を並行して行っています。

関連リンク

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