専門機関、専門家に聞く資料保存 (LISN No.192 現物を残す―紙資料を中心に)

デジタル化や現物保存が進められる一方で、資料保存では、人材や予算の確保など継続のためのご苦労も多いのではないでしょうか。
図書館や各専門機関などでは、同じ「資料」といっても扱う目的や扱い方に違いはありますが、LISN192の特集では、資料の中でも紙資料-古文書、紙焼き写真、マンガ原画などについて主に専門機関を事例として、現物の保存だけでなく担い手となる人に対する日頃からの心がけや、求められる専門的な知識、また利用、保存における課題解決の一助となると考えられるネットワークといった視点からお届けしています。
また、192号より新連載「『誰一人取り残さない』図書館を目指して」が始まります。「誰一人取り残さない」は、SDGSでもうたわれていますが、図書館サービスにあっても目指すべき目標です。実現のために図書館は何を知り、どのような取り組みを進めたらよいのか。法律、理論から実践まで4回にわたってご紹介します。ご自身の図書館での取り組みの見直しなどに、是非お役立てください。

酸性化を抑制する中性紙素材の間紙封入©キハラ株式会社
酸性化を抑制する中性紙素材の間紙封入©キハラ株式会社

特集では、紙資料保存の様子、継続のための様々な配慮をお届けします。徳島県立文書館の金原氏より、ボランティアの方々にご活動を続けていただくための様々なご配慮と、ボランティアの方々による古文書修復の様子、紙や写真の修復をご専門になさりご講演や著書なども手掛けられる白岩氏より、写真資料の保存について、そして秋田県横手市増田まんが美術館大石氏より、美術館でのマンガ原画保存の様子と、文化庁の事業で美術館が業務委託されているマンガ原画アーカイブセンターにおける取り組みをお届けします。また、1900年前後に活躍した法学者廣池千九郎の記念館の所蔵資料と保存を、学芸員で副館長の矢野氏にご執筆いただいています。
また、連載の第1回「『合理的な配慮』がすべての図書館に義務化へ」では、専修大学教授の野口氏より、合理的配慮が私立の学校や図書館でも義務化されたことの再認識と具体的に取り組むために参考としたい情報をご紹介いただきました。

ブックキーパー スプレーボトル 使用イメージ©キハラ株式会社
ブックキーパー スプレーボトル 使用イメージ©キハラ株式会社

資料紹介は、地域で歴史文化を保存・継承するために、何をどのように守り、伝えていけばよいのか。最新の研究と実践からその方法を紹介する 「地域歴史文化継承ガイドブック 付・全国資料ネット総覧」です。
製品紹介は、脱酸性化処理を必要とする酸性紙を選び出すことのできるアビィpHペンと、手紙やはがき、薄手の冊子などの紙資料を脱酸性化処理することができるスプレー、ブックキーパーをご紹介します。

LISN192号(2022年6月)
特集「現物を残す―紙資料を中心に」
金原 祐樹(徳島県立文書館)「徳島県における古文書補修ボランティアの活動」
白岩 洋子(白岩修復工房 代表)「写真資料の保存について」
大石 卓(横手市増田まんが美術館 館長)「『マンガ原画』に適したアーカイブの確立を目指して」
矢野 篤(公益財団法人モラロジー道徳教育財団 廣池千九郎記念館 副館長、学芸員)「廣池千九郎記念館の所蔵資料と保存」
新連載「誰一人取り残さない」図書館を目指して
野口 武悟(専修大学 文学部教授)「第1回『合理的な配慮』」がすべての図書館に義務化へ
資料紹介「地域歴史文化継承ガイドブック 付・全国資料ネット総覧」
製品紹介「アビィpHペン ブックキーパー

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