図書館の資料は、開架・閉架に設置されている書架に並べられて保管されています。しかし、受け入れられる資料は非常に多く、また判型や形態も様々であることから、そのすべてが配架されているわけではありません。
配架されない資料の多くは、閉架書庫やバックヤード等で、段ボール箱などに保管されて眠っていることがあります。
段ボール箱に資料を保管し床置きしている現状を、図書館員なら誰でも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
実は、「段ボール箱に資料を保管すること」「保管容器を床に直置きすること」この2点は、資料保存の観点から大変にリスクがある行為です。
床置き段ボールのリスク①湿気だまりによるカビの発生

ボール箱を床置きしたまま、閉架書庫の隅に放置するとどうなるのでしょうか。
まず、ほこり(塵埃)が蓄積していきます。また、段ボールには保温性・保湿性があるため、地面からの湿気を吸着し、湿気だまりができていきます。
カビが生育するためには、水分と栄養源が必要です。
すなわち、段ボールの床置きは、カビが生きるために必要である水分(湿気)と栄養源(ほこり等)を揃えてしまうことになるのです。
資料にカビが発生してしまうと、資料自体が分解されて劣化したり、代謝物によって汚染されて見栄えが悪くなってしまいます。カビを除去するためには膨大な費用や時間が必要となりますので、発生してからの対処は非常に大変です。
床置き段ボールのリスク②最適な生息環境で害虫の繁殖

段ボールには保温性・保湿性があるということは、つまり害虫が過ごしやすい場所でもあります。さらに隙間が多く隠れやすいという側面もあります。
害虫は暗く・暖かい・湿気のある場所を好みます。書庫の隅に積んでいる床置きの段ボールは、まさに害虫が繁殖するために最適な場所なのです。
害虫が段ボールの隙間に生息するだけではなく、波形のボール紙の隙間に卵を産み付けることもありますので、バックヤードやトラックヤードに放置している空の段ボールも注意が必要です。
害虫の中には資料そのものを食害する種(シバンムシ類・シミ類等)がいるため、資料本体がかじられたり穴が開いたりすることで、大事な文字情報が失われてしまう危険性があります。また、分泌物によって汚染したり、ページ同士が付着して開くことが困難になるケースもあります。
害虫が繁殖すると、瞬く間に資料が被害に遭ってしまいます。
近年では、ニュウハクシミ等の外来種の害虫も発見されており、その繁殖力の高さに専門家も警鐘を鳴らしています。

以上の2つのリスクから、床置きの段ボールは資料保存にとって大変に危険です。
床置きしている段ボールや放置している空の段ボールは、すみやかに片付けましょう。
そうはいっても、蔵書や書庫の整理・大掃除をするには膨大な時間や人件費がかかってしまい、簡単には対応ができません。
そこで、すぐに始められる対応として「清掃」と「風通しをよくする」ことを心がけましょう。
整理しきれず段ボールに保管するしかない資料は、そのまま小型のカゴ台車に積載すると床との設置面がなくなり風通しがよくなります。そのまま移動することもできるため、便利です。ブックトラックや一般的な台車でも代用することができます。また、すのこを敷いた上に段ボール箱を載せることも手段の一つです。

そして何より大事なのは、「日常的な清掃」です。カビや害虫のリスクを少しでも減らすために、栄養源となるゴミやほこり・汚れを取り除くことは、とても重要です。
資料保存は専門的な技術や知識が必要と思われる方も多いでしょう。しかし、誰にでもできる“日常的な清掃”や“少しの気配り”が、実は保存への近道なのです。
キハラでは書庫の環境調査や資料整理用カゴ台車の取り扱いを行っております。ぜひお問い合わせください。
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