正しい姿勢でPC作業をするために。「高機能ワークチェア」の選び方

LISN183(3月)号に掲載しております、内田秀樹「 情報機器( VDT )作業における労働衛生管理の現状と対策 」では、働き方の変化に伴う自宅等でテレワークを行う際の作業環境整備、またPC作業をする為にふさわしい「高機能ワークチェア」について詳述されています。
その中から、高機能ワークチェアを選ぶ具体的な五つのポイントをご紹介します。テレワーク(在宅勤務)などをされる際に、是非ご参照ください。

LISN183掲載 内田秀樹「情報機器(VDT)作業における労働衛生管理の現状と対策」 より

〇働き方の変化

ここ数十年IT技術の進化とともに企業を取り巻く環境 意識の変化により働く環境も大きく変化をしてきました。厚生労働省でもテレワーク(在宅勤務など)を推進する一方で、労働環境の悪化を防止するため、ご自宅の作業環境整備の指針を出しています
厚生労働省:自宅等でテレワークを行う際の作業環境整備

また最近は、公共施設や一部の図書館などでも、利用者がパソコンを使える環境が整備され、個々の目的で選べるスペースが増えています。スペースを提供する側についても、お客様のニーズを満たすために既存サービスとのバランスを考え、快適な執務環境を整備する一環として高機能チェアを導入するケースが増えてきています。座る人にとって、最も効果的に高いモチベーションが保たれ、快適に座っていただくため、オフィス用ワークチェアの中で最も適したもの、それが「高機能ワークチェア」です。

〇PC作業をする為にふさわしい具体的な高機能ワークチェアを選ぶ五つのポイント

サポート性、快適性、多様性、環境、耐久性

1.サポート性
サポートには、背骨をサポートすることと動きをサポートする機能があります。
高機能ワークチェアに深く腰掛け背もたれに背中をつけ、機能操作を適切に行いしっかりセッティングをすることで、骨盤が正しい位置に誘導され腰周りへの圧力が軽くなります。
また背骨のS字の曲線が保ちやすくなり、筋肉や椎間板に余計な負担がかかりにくくなるため、疲れにくくなります。
動きのサポートとしてはリクライニングが重要です。人間の体は酸素を取り込み、乳酸や老廃物を体外に送り出すために絶えず動かしている必要があります。リクライニングは、自分が倒れたいと思うときに背をささえて倒れ、起きたいと思ったときに起き上がれるような機能が重要です。
気を付けないといけない点は倒れるときは一定の速度で倒れますが、一部の低価格な製品には起き上がる時の反発が強い製品などがあります。これは腰痛の原因や、耐久性に問題が生じる場合もありますので注意が必要です。

2.快適性
快適性を実現するには、座面の圧力分散と温度調整の二つの方法があると考えられています。
圧力分散 
椅子に座ったときにかかる体圧を分散し、臀部の1か所に負荷がかからないようにするために、素材や形状で、あらゆる体型の背中や臀部にフィットし体圧を均等に分散し快適に座れるような製品が開発されています。
温度調整
人間は体熱が周囲の気温と合っている時に快適さを感じるものです。しかし、革や布製のものは長時間座っていると熱を帯びてしまいます。これを防止するために最近は通気性に優れた布や耐久性の高いメッシュ、柔らかい樹脂素材などを採用した製品も増えています。

3.多様性(ダイバーシティ)
一部の製品では大、中、小 3種類のサイズを導入した製品もあります。 製品を選ぶポイントとして、購買担当者だけでなく、様々な体形な方に試座を実施し、きちんとしたアンケート調査やレビューをもとに製品を選ぶことが重要です。

3種類のサイズを導入した製品の一例@キハラ株式会社
3種類のサイズを導入した製品の一例@キハラ株式会社

4.環境
昨今、環境にやさしい素材を使用することや、製品を廃棄する際にリサイクルできる素材を使用するなど、いろいろな基準で製品が生まれています。
また生産から廃棄だけでなく、利用し終わったものを再び生まれ変わらせる「ゆりかごからゆりかごまで」という循環方式での製品もあります。

マクダナー・ブラウンガート・デザイン・ケミストリー(MBDC)が提唱する「ゆりかごからゆりかごへ(Cradle to Cradle)」の採用例@キハラ株式会社
マクダナー・ブラウンガート・デザイン・ケミストリー(MBDC)が提唱する「ゆりかごからゆりかごへ(Cradle to Cradle)」の採用例@キハラ株式会社

5.耐久性
メーカーとして生産過程での環境への配慮はもちろん、製品を末長く愛用していただき地球資源をセーブすることが重要です。耐久性・信頼性を重視し、修理により長く使っていただくこともまた環境にやさしい製品であることにつながります。

〇まとめ

新型コロナウィルス感染拡大予防対策の在宅勤務など、コンピュータを使用した作業環境の見直しも今まで以上に注目されています。
皆様の職場環境や閲覧コーナーなどの来客スペース、ご家族のインターネットをする際の姿勢や、お子様の勉強する環境など、単純に座るだけでなく安全という観点から今一度見直してみましょう。

「情報機器(VDT)作業における労働衛生管理の現状と対策」記事の全文は、LISN183(3月)号に掲載しております。

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